2012年10月3日水曜日

抱っこしてが伝われば…

人と関わる時にどうコミュニケーションをとればいいのか 
私達はそれに大きく迷う事なく
生まれた時からお母さんとアイコンタクトをとり
やがて指さすことで物をとってもらえる事を知り
「ちょうだい」「いこう」など言葉を通して自分の伝えたい事を伝え
相手の伝えたい事を知れるようになります。

甘えるために
一緒に遊ぶために
ほしい物をもらうために

人との関わりに少しの壁を感じたとしても
それを乗り越える方法を必ず理解する事ができる
その度にその方法を身につけて
自分のしたい交流を行う事ができる
私達の多くは・・・




男の子は友達を意識する事なく
全く話す事もなく
誰とも時間を共有する事なく、ただ一人で遊んでいました。

絵本を手にすれば破いてしまう
玩具を手にすれば投げてしまう
人との交流を自由にさせるには壁となる事が多く
常に側でその行動を制止する人が必要でした。

「絵本を破く」「玩具を投げる」
ある角度から判断すればそれは危険行動かもしれません。
でもこの子の角度から見れば
それは人を引きつけるための手段でした。

そのことをみんなで理解した時、もう1つわかる事がありました。
それはその子が"人が好き"であることと、"人と関わりを持とう"としていること。
ならば「どうしたら人と上手く関われるのか」それを教えてあげればいい!
先生達はその子にジェスチャーで想いを伝える事を教えました。

先生達は子ども達の学校での様子を一番理解しています。
その子が"本当は抱きしめられたい事"を先生達は
その子が注意される時に嬉しそうである様子から感じ取っていました。

「だっこしてほしい」
それを伝えるためのジェスチャーとして
ただ手を広げればいい事を先生達は男の子に伝えました。


一ヶ月後
男の子は担任だけでなく、学校中の先生に手を広げて歩き回ったそうです。
ジェスチャーで自分の想いが伝わることを知った男の子は
本を破らなくなり、友達と肩を並べて絵本を楽しむようになりました。
リズム遊びでは支援員の手を離れ、一緒に踊ってくれる友達を自分で捜して手を握ったそうです。
「先生」「抱っこして」「やって」
少しずつ、人と関わるための言葉も生まれはじめました。


男の子はずっと望んでいた
人とコミュニケーションをとるという作業を叶え
今また新しい作業が生まれています。

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